ファイルコインは、世界で100か所以上の取引所に上場している暗号通貨の1つです。
メインネットのローンチ後わずか半年ほどで、一時時価総額で8位にランキングしました。
データ爆発時代を迎えた現代において、ストレージ問題の解決策としてファイルコインはますます注目を集めています。
本記事では、ファイルコインの基本的な内容から、マイニングの参加方法まで詳しく解説していきます。
ファイルコインの基本情報
ファイルコインの概要
通貨名 | Filecoin |
シンボル | FIL |
発行総数 | 20億枚 |
取扱取引所 | Binance,BITTREX,OKEx,Kraken,Huobi など |
オフィシャルサイトURL | https://filecoin.io/ |
ファイルコインのプロジェクトが発足したのは2014年です。
その後、2017年に最初の新規仮想通貨公開(ICO)でが行われ、2億5百万ドルを調達したことで話題になりました。
そして2020年10月にメインネットがローンチされています。
時価総額ランキング
2021年9月5日現在、ファイルコインの時価総額ランキングは23位となってます。
ファイルコインの価格
2021年9月1日現在、ファイルコインの価格は約78ドル(約8,580円)です。
データ爆発時代の到来
動画配信サイトやSNSの普及、5GやIoTの発展によりインターネット上に存在するデータ量は急速に増加しており、データ爆発の時代が到来しています。
全世界の年間データ生成量は、2017年の23ZB(ゼタバイト)から2025年には175ZBまで増加すると試算されています。
ゼタってもはやよくわからないですね。。
キロ、メガ、ギガ、テラ、ペタ、エクサ、ゼタ・・・・
とにかくものすごくデータが増えているということですが、問題になるのがこの大量のデータをどうやって保管するかというこです。
現状こうした大量のデータはGAFAMなどプラットフォーマーのデータセンターに中央集権的に保管されています。
しかし、データの独占支配やデータの漏洩問題などが社会的な課題となってきています。
中央集権的に保管されているため 、データセンターにトラブルが発生した場合、データにアクセスできなくなる可能性もあります。
直近でも下記のようなトラブルがありました。
また、そもそもデータを保管する物理的なストレージが枯渇するということも問題の1つです。
こうした課題を解決するために生まれた技術がIPFSです。
IPFS(InterPlanetary File System)とは?
IPFS(Interplanetary File System)とは、米国のプロトコルラボ(Protocol Labs)が提唱する分散型のインターネットファイルシステムです。
次世代の「Web 3.0」を支えるとも言われている画期的なシステムです。
現在のインターネットで主要なプロトコル(通信手順)であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を補完するプロトコルとして位置付けられています。
だんだん難しくなってきた。。。
現在のインターネットにおいてデータにアクセスする場合、「https://xxx.com/***」といったURLを指定します。
HTTP通信の場合、このURLはデータの「保管場所」を示しています。
例えばこの記事のURLを見て頂くと、「https://mampuku748.com/***」となっているかと思います。
これは私が契約しているWebサーバを示しており、そこに保管しているデータに皆さんがアクセスしているということです。
HTTP通信の場合、1つの場所の1つのデータを保管しているため、私が保管場所を変えてしまうと皆さんはアクセスできなくなります。
あるいは今契約しているWebサーバーがサービスを終了してしまうと、すべてのデータが消滅してしまいます。
一方、IPFSでは「保管場所」ではなく、データの「品番」を指定します。
各データには品番が割り振らており、この品番を指定することで保管場所は関係なく、そのデータを取得することができます。
また、1つの場所に1つのデータを保管するのではなく、分割したデータを複数の場所(ストレージ)に保管します。
このことで、1つのストレージがだめになってもデータを取り出せることができますし、誰かが勝手にデータを書き換えることが難しいためセキュリティ面も向上します。
ファイルコインの役割
IPFSを拡大させていくためにはストレージを提供するストレージマイナーが必要不可欠です。
そこで、より多くのマイナーに参加してもらうためマイニング報酬が設定されています。
マイニングと言えばビットコインのマイニングが有名かと思います。
ビットコインでは、マイナーは大量の計算を行うことでブロックチェーンを生成し、その報酬としてビットコインを得ることができます。
一方、ファイルコインでは、計算をするのではなくストレージを提供します。
そしてその報酬としてファイルコインを得ることができます。
ファイルコインの発行総数は20億枚に設定されていますが、そのうち70%の14億枚がマイニング報酬に割り当てられています。
ちなみに、発行総数の15%にあたる3億枚はプロトコルラボチームに割り当てられ、6年間でリリースされます。
また、10%の2億枚はICOに参加した投資家に割り当てられ、36か月間でリリースされます。
残りの5%の1億枚はファイルコイン財団に割り当てられ、6年間でリリースされる予定です。
上記のマイニング報酬だけでなく、IPFSのストレージサービスを利用してデータの保管や取り出しをする場合、ユーザーは少額のファイルコインを支払います。
これらのファイルコインもマイナーの報酬となります。
ファイルコインが注目される理由
ファイルコインのようなストレージサービスは、他にもストレージ(Storj)やシアコイン(Siacoin)、ポルカドット(Polkadot)など様々なものがあります。
その中でもファイルコインが注目される理由について解説します。
ICOの大成功
先ほども述べましたが、ファイルコインの新規仮想通貨公開(ICO)は、2017年に行われ2億5百万ドルを調達しました。
このICOの参加条件は総資産額1億ドル以上の投資家、もしくは年間で20万ドル以上の利益を出した投資家のみに行われ、一般の投資家は参加する機会がありませんでした。
参加した投資家の中には、アンドリーセン・ホロウィッツやセコイア・キャピタルなどの大手ベンチャーキャピタルに加え、スカイプ、コインベース、ウィンクルボス兄弟、さらにはスタンフォード大学などそうそうたるメンバーが名を連ねました。
このことから、ファイルコインへの期待の高さがうかがえます。
ナスダックも注目
アメリカの電子証券取引所・ナスダックは、2020年12月に「今後数年間でビットコインを上回る可能性のある3つのアルトコイン」と題する記事を掲載し、その3つの中でファイルコインを取り上げました。
現状ビットコインの知名度や普及率は他通貨の追随を許しませんが、機能面で優れた仮想通貨というわけではありません。
これまでは投機的な需要から価格が上昇してきましたが、これからはより実需要のボリュームが増えていきます。
その中で、ファイルコインプロジェクトが提供する分散型ストレージの実需要が、かなり大きく成長すると予想されています。
すでに多くのマイナーを確保
ファイルコインプロジェクトの成功には、多くの安定したマイナーの確保が必要不可欠です。
2021年9月5日時点ですでに3,153のアクティブマイナーが存在し、ストレージの容量は10EiBを超えました。
マイナーの情報は下記から確認できます。
特に、マイニング大国である中国の大手企業が政府資金をバックに参入してきていることもプラス要因です。
ファイルコインマイニングの参加方法
ファイルコインのマイニングに参加するには、個人でストレージを用意するよりもすでにマイニングに参加している企業などに出資するほうが簡単です。
直接マイナーとして参加するにはインフラ投資や設備管理が必要となりますが、マイナーに出資すれば、ストレージの一部を間借りし、配当という形で報酬を得ることができます。
多くのマイナーが出資者を募集していますが、契約期間や配当などは様々です。
また、マイニングのルールやリスクも十分把握したうえで参加することがとても重要です。
マイニングに参加する前に
ファイルコインのマイニングに参加する前に知っておくべきことについて解説します。
マイニング報酬の配布ルール
ファイルコインのマイニングでは、マイニング報酬のすべてが即時配布されるわけではありません。
獲得した報酬の25%が即時配布、75%が180日にわたり分割されて配布されます。
マイナーが報酬を得た直後にストレージをシャットダウンし、保管したデータが消滅することを防ぐためです。
これは、プロトコルラボが取り決めている公式のルールであり、どのマイナーも同じです。
マイニングには担保金が必要
ファイルコインのマイナーは、ストレージ容量に応じてファイルコインを担保金として確保しておく必要があります。
これも保管したデータの消滅を防ぐためで、プロトコルラボの公式ルールです。
1TiB当たりのマイニング報酬は下がっていく
先ほど述べた通り14億枚のファイルコインがマイニング報酬として割り当てられていますが、20年間をかけて徐々に発行されることになっています。
しかも、初期段階でマインニングに参加者を優遇させるため、6年の半減期ごとに7億枚⇒3.5億枚⇒1.75億枚と徐々に発行数量が減少していく設計になっています。
また、単位時間あたりに新規発行されるファイルコインの枚数はある程度調整はされますが、マイナーが増えれば当然各マイナーの取り分は減少します。
おすすめのマイニング会社
深圳麦客有限公司(MakerST)
深圳麦客(MakerST)は、中国深圳市にある中国最大規模のファイルコインマイニング企業です。
数々の賞を受賞した経歴を持ち、中国政府からデータ保管を委託されるなど、中国国内で最高峰のブロックチェーン企業として知られています。
2017年というIPFSの初期構想段階から参入しており、業界全体のリーディングカンパニーです。
2021年5月頃より投資家向けのサービス( MstMine )の提供を開始しています。
2021年9月1日現在、ストレージ容量で8位にランキングしています。
深圳麦客の強み
深圳麦客の強みの1つは中国政府のバックアップがあることです。
政府からデータ保管を委託されてるため、今後のストレージ容量の増大に期待ができます。
また、自社でストレージサーバーの設計、研究開発、および生産などを行っていることも強みです。
自社コンピューターを利用することで最高の品質と安定供給を実現しています。
深圳麦客のマイニングの参加費用
深圳麦客のマイニングに参加するための費用について解説します。
下記は1TiBあたりの費用です。
①ストレージ代金 | 1000USDT |
②担保用ファイルコイン | 10FIL |
③Gas代 | 3FIL |
④事務手数料(両替送付手数料) | ①~③総額に対して15% |
※支払い方法:Bitcoin
※契約期間:720日(契約満了時更新可能)
※管理手数料:マイニング量に対して30%
1USDT = 110円、1FIL = 12,000円で計算してみましょう。
①:1000 × 110 = 110,000円
②+③:13FIL × 12,000円 = 156,000円
④:(110,000+156,000)× 15% = 39,900円
計(①+②+③+④):305,900円
1TiBでざっくり30万円程度の費用になります。
マイニング収益イメージ
マイニングによる収益のイメージです。
プロトコルラボの公式ルールにより獲得報酬の75%分が分割配布されるため、徐々に配当が増加していきます。
1日10FILのマイニング報酬を獲得した場合
■1日目 2.5FIL獲得(残り7.5FILは180分割されて支払われる)
■ 2日目 2.5FIL獲得 + 1日目の分割分(7.5/180)
■ 3日目 2.5FIL獲得 + 1日目の分割分(7.5/180) + 2日目の分割分(7.5/180)
■ …
540日でマイニングが終了し、徐々に配当が減少します。
720日で1クール目が完了ですが、Gas代のみでさらに1クール(720日間)の契約更新が可能です。
そのため継続することで利益率がUPしていきます。
マイニング収益シミュレーション
では実際にどれくらいの収益になるのか計算してみましょう。
現在の1TiB・24H当たりのマイニング報酬は0.0315FILです。
この条件で1クール(540日間)、マイニングを続けると約17FILになります。
徐々にマイニング報酬が減っていくとして。。。
クール | 経費 (累計) | 予測獲得 FIL | 累積獲得FIL (+担保) | 円換算 (担保込) | 収益 |
1クール目 | 300,000 | 17 | 17(+10) | 324,000 | +24,000 |
2クール目 | 36,000 (336,000) | 15 | 32(+10) | 504,000 | +168,000 |
3クール目 | 36,000 (372,000) | 12 | 44(+10) | 648,000 | +276,000 |
3クール終了した時点で手元に54FILが残る計算になります。
1FIL = 12,000円のまま固定だったとしても276,000円の利益
さらに4クール目と継続し、またファイルコイン自体の価格が上がれば利益は増大します。