為替ヘッジとは?「あり」と「なし」どちらがよいか?

投資信託・ETF
投資信託・ETF

投資信託やETFの銘柄名に「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」と表記されているものがあります。

為替ヘッジとは何か、その仕組みと効果を解説します。

為替変動リスク


外国の株式や債券等に投資する際、通常その国の通貨で投資することになります。

そのため、株式や債券そのものの値動き以外に、為替レートの動きが投資結果に大きく影響します

この為替による影響を為替変動リスクと言います。

米国株に投資する場合のイメージ図



例えば、$1=100円ときに$100分の米国株に投資したとしましょう。

売却時、米国株の価格が上がり$110となった場合、対米ドルで見ると10%の利回りになります。

さらにその時、$1=102円のドル高・円安となった場合、円換算した場合の利回りは12.2%と為替変動により差益を受け取ることができます。

購入時 

 米国株:$100、為替レート:$1 = 100円

売却時

 米国株:$110、為替レート:$1 = 102円

利回り(対米ドル)

 ( $110 – $100 ) / $100 = 10%

利回り(対日本円)

 ( $110 × 102円 – $100 × 100円 ) / $100 × 100円 = 12.2%


ところが、$1=98円のドル安・円高となった場合は、円換算した場合の利回りは7.8%と為替変動により利益が目減りしてしまいます。

購入時

 米国株:$100、為替レート:$1 = 100円

売却時

 米国株:$110、為替レート:$1 = 98円

利回り(対米ドル)

 ( $110 – $100 ) / $100 = 10%

利回り(対日本円)

 ( $110 × 98円 – $100 × 100円 ) / $100 × 100円 = 7.8%


このように、外貨建て資産への投資には為替変動リスクが存在します。

この為替変動リスクを回避することを為替ヘッジといいます。

為替ヘッジ


為替ヘッジとは、為替変動の影響を抑える仕組みのことです。

為替ヘッジの方法としては、外貨建て資産へ投資すると同時に、外貨を売って日本円を買う為替予約取引を行います


為替予約取引とは将来のある時点で行う為替取引について、事前に為替レートと数量を予約する取引きのことです。

ただし、為替ヘッジを行う際、対象通貨の金利差分のヘッジコストが発生します

為替ヘッジを行い米国株に投資する場合のイメージ図

ヘッジコスト


そもそも将来の為替相場の予測が難しいなかで、どうやって事前に為替レートを予約するのでしょうか。


為替予約取引では市場参加者が合意する「先物為替レート」を使って取引が行われます。

先物為替レートとは取引時点の各通貨の金利から導かれる理論価格を基に算出されます。


例えば、日本円と米ドルとの取引で考えてみます。

取引時点で1年の金利が日本円:0.0%、米ドル:2.0%とします。

また、為替レートが$1=100円のときに10,000円($100)分の予約するとしましょう。


1年後、それぞれの金利から資産の価値は下記のように想定されます。

 日本円:10,000円 → 10,000円

 米ドル:$100 → $102


当然、実際にそうなるかは分かりませんが、現時点での1年後の為替レートの合理的な予測として市場参加者は合意できるのです。

つまり「10,000円=$102」が成立することが期待され、$1=約98.04円(10,000円÷$102)として為替レートが決まります。


$1=98.04円で予約取引された場合、その時点で約2%のコストが発生していることになります

これは日本円と米ドルの金利差2.0%(2.0% – 0.0%)がコストになると言い換えることができます。


資産の売却時、$1=98.04円よりも安く(ドル安・円高)なれば、為替ヘッジをした効果を発揮することができます。

逆に$1=98.04円よりも高く(ドル高・円安)なれば、為替ヘッジをしない場合よりも利益が目減りすることになります。

為替ヘッジあり・なしどちらがよいか


これまで述べた通り、為替ヘッジの効果は円高になるか円安になるか、またそれぞれの通貨の金利によって変わってきます。

ただ、今後為替や金利がどうなるかは分かりません。

自身の投資スタイルや為替予想をもとに決めるしかありません。

・為替変動の影響を抑え、リスクをできるだけ抑えたい方

・将来円高が進むと思われる方。

 ⇒為替ヘッジあり

・為替ヘッジのコスト負担が気になる方。

・将来円安が進むと思われる方。

 ⇒為替ヘッジなし

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