こんにちは。
今回は、EA(Expert Advisor)のバックテストレポートの見方について説明していきます。
そもそもEAやMT4って何?という方は下記をご確認下さい。
SNSやネットでは様々なEAが販売もしくは無料配布されていますが、それがどんなEAなのか、また良いEAなのかを判断するためにはバックテストレポートを確認することが必要不可欠です。
本記事ではEA開発者である私の経験をもとに、確認すべきポイントや悪質なEAに騙されないためのポイントを盛り込みながら解説していきます。
バックテストレポートの各項目について
まずは、下記サンプルをもとに、バックテストレポートの各項目について説明をしていきます。
①EAの名前
EAの名前です。
EA開発者が自由に決めることができます。
②FX口座
バックテストに使用したFX口座です。
EAでの取引を行う上でどこのFX口座を使用するかはとても重要です。
配信されるレート、スプレッド、取引手数料、約定力、スワップなどが口座によって様々で、それらが取引結果が大きく影響するためです。
バックテストにおいては、使用するEA、ヒストリカルデータ、各設定が同じであればFX口座による差は小さくなってきます。
それでも、取引手数料の有無やスワップが反映されるかどうかはFX口座によって異なります。
実際に使用するFX口座がどこか、そしてその口座の取引ルールや特性をできるだけ反映したバックテストになっているかを確認する必要があります。
国内でMT4が使用できるFX業者は下記で紹介していますので、ご確認ください。
通貨ペア
バックテストに使用した通貨ペアです。
取引可能な通貨ペアはFX口座により異なるので、使用予定のFX口座で利用できるか確認が必要です。
また、1つのEAで複数通貨を取引することもできるのですが、バックテストでは1つの通貨のみです。
購入を検討してるEAがどの通貨で取引するのか確認が必要です。
期間
バックテストに使用したチャートの時間足とバックテスト期間です。
このバックテストでは、15分足を使用し、2020年1月2日から2020年1月31日のテストを行ったということになります。
モデル
バックテストに使用したモデルです。
モデルには下記の3つの選択肢があります。
全ティック:利用可能なすべてのティックデータ(実際は1分足)を使用してバックテストを行います。ただし、1分足の形成はランダムティックになります。
コントロールポイント:バックテストに使用した時間足の1つ下の時間足(15分足なら5分足、30分足なら15分足……)を使用してバックテストを行います。
始値のみ:バックテストに使用した時間足の始値データのみを使用してバックテストを行います。
全ティック、コントロールポイント、始値のみの順にバックテストの精度がよくなります。
ただ、「全ティック」でバックテストをするととても時間がかかることがあります。
そのためEA開発時は「始値のみ」を使うこともありますが、EAを選定する際は、基本的には「全ティック」になっているものを選択しましょう。
ティック(Tick)とは配信される1つずつのレートのことです。
FX市場で活発に取引が行われているような場面ではティック数が増えるのに対し、市場参加者が少なく、閑散としているような相場であれば、ティック数が減少するといった特徴があります。
パラメーター
バックテストに使用した各パラメーターの設定値です。
パラメーターはEAによってさまざまものが用意されます。
実際にEAを稼働する際はどういうパラメーターなのかを把握し、自分に合った設定にする必要があります。
テストバー数
バックテストに使用したチャートのロウソク足の本数です。
モデルティック数
バックテストで使用したティック数です。
モデリング品質
ヒストリカルデータの信頼性を表しています。
1分足の場合は最大25%となり、その他の時間足は90%が最大となります。
基本的に高い方がよいですが、信頼度の高いヒストリカルデータを用意すれば90%になるので、EAを選定する際はできるだけ90%になっているものを選びましょう。
モデリング品質の詳しい算出方法が知りたい方は下記のリンクをどうぞ。
不整合チャートエラー
バックテストに使用した各時間足の価格データの不整合の数です。
例えば、2020年1月1日00:00の15分足の始値が「100.00」なのに、同時刻の15分足の始値が「100.10」となっているような場合にカウントされます。
不整合チャートエラーもヒストリカルデータが正しければ「0」にできます。
EA選定の際は、できるだけ「0」のものを選びましょう。
初期証拠金
バックテスト開始時の証拠金です。
注意点としては通貨単位が「円」とは限らないということです。
デフォルトの設定は10,000USDですので、そのままになっているバックテストレポートが多いように思います。
詳細は開発者に確認するのが確実です。
スプレッド
バックテスト時の固定スプレッドです。
単位はpointです。FX口座にもよるのですが、基本的に1pips=10pointです。
バックテストは何百回、何千回と取引をさせますのでこのスプレッドの影響を大きく受けます。
適切なスプレッドに設定されているかよく確認する必要があります。
純益/総利益/総損失
バックテストでの純益、総利益、総損失です。
勝ち取引の利益を合計した金額が総利益、負け取引の損失を合計した金額が総損失です。
そして、総利益と総損失の合計が純益となります。
純益がプラスかマイナスかによって、テスト期間中、総額で買っているか、負けているかの判断することができます。
プロフィットファクタ
資金効率の指標です。
総利益と総損失の割合で「総利益÷総損失」で算出されます。
1.0以上であれば純益がプラス、1.0以下であれば純益がマイナスです。
プロフィットファクタは高いほうがいいですが、それだけでEAの良し悪しを判断できません。
取引回数、勝率、純益など他の指標と合わせて判断する必要があります。
絶対ドローダウン
初期証拠金からのドローダウンです。
最大ドローダウン
全取引期間中、最も大きくドローダウンした金額(割合)です。
相対ドローダウン
全取引期間中、証拠金に対し相対的に最も資金が減少した割合(金額)です。
上記3つのドローダウンについて図解で示します。
総取引数
バックテスト期間中の取引回数です。
EAの信頼性を上げるためにはできるだけ多い方がよいです。
売りポジション(勝率)/買いポジション(勝率)
売り買いそれぞれの取引回数と勝率です。
売りエントリーが多いのか、買いエントリーが多いのか、また、それぞれの勝率がどれくらいかなど、EAの特徴を表す指標です。
勝率(%)/負率(%)
全体の取引回数と勝率を表しています。
EAの特徴を表す指標の1つです。
勝率は高いほうがいよいですが、必ずしもそれだけで優良なEAということではないので過信は禁物です。
最大 勝トレード/敗トレード
全取引の中で1回の取引での最大利益額、また、最大損失額です。
EAの特徴を表す指標の1つです。
平均 勝トレード/敗トレード
1回の取引での平均利益(総利益÷勝ちトレード回数)また、平均損失(総損失÷負けトレード回数)です。
EAの特徴を表す指標の1つです。
最大 連勝(金額)/連敗(金額)
最大連勝した数とそのときの総利益額、また、最大連敗した数とそのときの総損失額です。
EAの特徴を表す指標の1つです。
最大 連勝(トレード数)/連敗(トレード数)
連勝時の最大総利益とそのときの連勝回数、また、連敗時の最大総損失とそのときの連敗回数です。
EAの特徴を表す指標の1つです。
平均 連勝/連敗
平均連勝回数、また、平均連敗回数です。
EAの特徴を表す指標の1つです。
バックテストレポートのグラフ
続いて、バックテストレポートのグラフについてです。
縦軸が「残高額」、横軸が「決済した取引の順番」になります。
青色線が「証拠金残高」のグラフで、緑色線が証拠金残高にオープンポジションの評価損益を加減した「有効証拠金」のグラフを表しています。
バックテスト全体のプロセスにおいて「証拠金残高」(青色線)と「有効証拠金」(緑色線)が一致している場合(評価損益がない状態)は、下図のようにグラフ内に「証拠金残高」(青色線)だけが表示されます。
さらに、グラフが2段になり、「数量」という部分が追加されている場合があります。
これは1回の取引ごとに発注数量(Lot)が変動する場合に表示されます。
バックテストレポートの取引履歴一覧
最後にバックテストレポートの取引履歴の一覧についてです。
バックテストを行うと下図のように全取引の売買された時間、価格、数値等が一覧で表示されます。
全取引なのであまりにもデータが多いですし、一見しただけでよく分かりません。
この情報をもとに自分でエクセルなどの表計算ソフトで分析してみると、より様々な情報を得ることができます。
優良EAの見分け方についての解説記事・第2弾では、より詳細な見分け方ポイントや最終的にEAで利益を出すために必要なことを解説していきます。
ぜひ、ご確認ください。